当院の救急部はいわゆる北米型ERの形式で運用されています。北米型ERとは「①年齢を問わず、②内科系外科系を問わず、③軽症から重症まで幅広い患者さまを、④24時間体制で受け入れ、⑤救急部が初期対応し、⑥入院が必要な場合は臓器別専門科に引き継いでいく」タイプの救急スタイルのことを指します。当院では平日日中は救急科、夜間や休日は他の診療科が担当しています。救急車受け入れ台数は年々増加の一途をたどり令和3年度には4,834台まで増えました。この数は水戸医療圏の中でもトップクラスです。
内科系であれば、頭痛・腹痛・呼吸困難・めまい・嘔吐・発熱といったさまざまな症状の中から、肺炎・腎盂腎炎・胆嚢炎などの感染症や重症敗血症、心不全・腎不全・肝不全などの臓器障害を見つけ出します。外科系であれば交通事故や転落事故の患者さまから脳出血や骨折などの緊急を要する外傷を診断します。そして入院の適応や然るべき治療法を選択し適切に手当てします。
救急外来においては、死に瀕した患者さまや治療において一刻を争う患者さまも搬送されます。それらいわゆる「明日まで待てない病状」の患者さまを優先して治療することが第一の仕事であり、したがって比較的軽症と判断した場合、具体的な診断名を付けずに翌日の外来や診療所へ回っていただくこともあります。
救急部の診療の過程には若手医師や看護師、技士、薬剤師なども参加して、知識や経験・情報の共有、人材の教育、医療の質の改善や安全が実現されるようなしくみを作っています。最終的な私たちの目標は、救急外来を通じて地域医療の向上を図ることと考えています。
当院集中治療部は平成24年9月に新設されました。ここでは人工呼吸や透析治療、蘇生後治療、高度な術後管理といった全身管理が行われており、診療科を問わずさまざまな重症患者の回復および社会復帰に貢献しています。令和3年度の集中治療室の入室患者数は656例であり、救急外来の患者数と同様にその数は少しずつ増加しています。
多職種カンファレンスや診療科合同回診、モニターアラーム指針や人工呼吸器離脱プロトコールの策定など欧米式のチーム医療体制が整備されています。
一般病床との違いは高度な治療内容のみならず、手厚い看護体制にあります。集中治療部では2ベッドに1名以上の看護師が配置され、患者の観察やケアは24時間同じレベルで維持されます。従って状態の変化を速やかにとらえることができ、早期に容態を安定化させる治療を始めます。重症患者であっても素早く適確に治療を行えば、望ましい結果につながるわけで、このような例は多数報告されています。
集中治療部はまた、医療者の教育においても重要な役割を担っています。例えば当院の研修医は、集中治療部での患者管理や治療方針の決定に積極的に関わることで、重症患者の管理方法やエビデンスに基づく治療介入の意味について学んでいます。また定期的なカンファレンスを行って、困難な病態に対する対応方法の検討など医療レベルの向上にも取り組んでいます。さらに医師だけでなく看護師や臨床工学技士、理学療法士、薬剤師、管理栄養士など様々な職種が同時に治療に介入し、それぞれの立場から問題解決の方法を提案することで、お互いの意思を確認しながら高い医療レベルを実現しています。
役職 | 氏名 |
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救急科部長 | 池上 直矢 |
ICU室長 | 小林 裕幸 |
非常勤医師 | 長谷川 隆一 |
非常勤医師 | 多田 勝重 |
池上 直矢(いけがみ なおや)
長谷川 隆一(はせがわ りゅういち)
多田 勝重(ただ かつしげ)